研究– category –
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研究
豪雪地帯の標高と来歴の異なるブナ林分における24年間(1999-2022)のブナ繁殖器官の生産量(英文)|Mar.2023
長野県飯山市の3つのブナ林(奥山成熟林・農村二次林・市街地孤立林)で、1999〜2022年の24年間にわたりモニタリングしたブナの花や実の生産量のデータを公開するものです。森林の断片化が進む中、ブナの豊凶現象の実態や気候変動の影響を評価する貴重な基盤資料となり得ます。ブナの実はツキノワグマの主要食物であり、凶作年のクマ出没予測や地域資源としての活用にも役立つと考えます。 -
研究
異なる林冠構造をもつ冷温帯二次林におけるチシマザサの純一次生産量(英文)|Apr.2022
日本の森林の林床に広く生育するチシマザサのCO₂吸収量(GPP)を常緑針葉樹林・混交林・落葉広葉樹林で測定しました。季節変化やGPPを左右する要因は森林タイプで異なりましたが、年間GPPはほぼ同程度でした。森林タイプは季節的なGPPの変動要因に影響する一方、年間GPPには生育期間の長さが重要であることが示されました。 -
研究
昭和前期に建てられた木造住宅の使用木材種:広島県福山市松永町の民家の事例|May.2022
昭和前期に建てられた広島県福山市の木造民家を対象に、使用木材の樹種と利用形態を調査しました。マツ属は梁や造作材、スギは柱に多用され、部位ごとに使い分けられていました。地域の自然資源を活用し、資材不足の中でも強度と意匠性を両立していたと考えられます。省資源的な建築技術の好例として、持続可能な社会・生態システムの構築に資する重要な事例です。 -
研究
ブナ成熟林における土壌呼吸の空間的差異は林冠構造を介した土壌水分量によって決まる(英文)|Sep.2021
長野県カヤの平のブナ成熟林において、土壌呼吸(SR)と土壌水分量(SWC)の関係について検証しました。100m×100mの調査区内121地点で測定したSR、土壌温度、SWC、林冠開空度の関係性を調べたところ、SRの変動はSWCと有意な関係があり、林冠開空度がSWCに影響していることがわかりました。森林の炭素循環の解明に新たな示唆を与える研究です。 -
研究
中日本の多雪地域におけるブナ(Fagus crenata)の繁殖器官の生産量と、駆除された有害個体のツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の数との関係に関する15年間の研究(英文)|Aug.2021
日本中部の積雪地域で、ブナの繁殖器官の生産量とツキノワグマの人里出没(駆除数)との関係を15年間にわたり調査しました。雄花序(MIs)が少ない年は、夏から秋にかけてクマの出没が増加する傾向が見られます。特に7月までに林床に落ちたMIsの量を観察することで、その年の出没リスクを予測できる可能性が示されています。 -
研究
志賀高原に生育するオオシラビソ個体群の年輪幅および種子生産量と気候要素の関係|Jun.2021
志賀高原のオオシラビソ個体群を対象に、年輪幅と種子生産量の時系列変動と気候要素との関係を解析しました。年輪幅は春や前年晩秋の気温と正の相関を示し、種子生産量とはトレードオフの関係が認められました。気温や降水量、日照時間が種子生産に与える影響も明らかとなり、気候変動が個体群の成長と繁殖に及ぼす影響が示唆されました。 -
研究
長野県野尻湖におけるワカサギ(Hypomesus nipponensis)の湖岸礫浜での定着産卵(英文)|May.2021
野尻湖では自然産卵が困難とされていたワカサギ(Hypomesus nipponensis)が、湖岸の浅瀬で産卵している様子が初めて確認されました。産卵は3月初旬から4月中旬の夜間に行われ、卵は5〜6週間で発眼します。しかし生存率は低く、藻類の繁茂や水流の弱さが影響していると考えられます。 湖内での自然繁殖は可能性があるものの、現状では個体群維持には不十分であり、魚道の整備や砂利の導入、水位管理などの環境改善が求められています。 -
研究
日本全国19か所の自然林における広葉樹樹冠への昆虫食害の評価(英文)|Mar.2021
本研究は、日本全国19か所の自然林で収集されたデータに基づく、国内最大規模の昆虫食害データセットを紹介しています。調査は環境省の「モニタリングサイト1000」プロジェクトの一環で行われ、2014〜2015年に広葉樹(常緑・落葉)を対象に、落葉トラップを用いて葉の食害を評価しました。計11万7,918枚の葉を調査した結果、落葉広葉樹では緯度が高くなるほど食害が増加し、特にミズナラやブナで顕著でした。一方、常緑広葉樹では逆に緯度が上がると食害が減少する傾向が見られました。このデータは、森林タイプ間の比較研究やメタ解析に有用です。 -
研究
ギャップ・モザイク構造を持つ成熟したブナ林におけるチシマザサ(Sasa senanensis)の総一次生産量(英文)|Feb.2021
森林の林床は、一部の森林生態系における総一次生産(GPP)に重要な役割を果たします。しかし、林冠構造の違いによる林床GPPの差異はこれまで十分に考慮されておらず、過小または過大評価の可能性がありました。本研究では、ブナを主体とする落葉広葉樹林を「林冠部」と「ギャップ部」に分け、林床のチシマザサのGPPを測定しました。ギャップ部では光量とバイオマスが多く、GPPは林冠部の約3.6倍に達しました。林床GPPは森林全体のGPPの約16〜20%を占め、林冠構造の違いを考慮する重要性が示されました。 -
研究
シカの影響に関する植生モニタリング調査と地域の生物多様性保全研究 ―シカと植生のアンケート調査(2018~2019)報告― ―地域の植生と生物多様性保全研究グループ―|Sep.2020
2017〜2019年に実施された全国規模のシカと植生に関するアンケート調査では、962件の回答が得られ、日本各地の多様な植生タイプからデータが集まりました。 2008–2009年調査と比較して、シカによる植生への影響が進行していることが示唆され、「強」や「中」レベルの影響が増加傾向にあります。かつては太平洋側に集中していた影響も、内陸部や日本海側へと広がり、林床植生の多様性劣化が顕著になっています。本調査は、保全の指針となる重要な基盤資料です。