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論文
日本のブナ林における林冠構造と林床木本植物群集構造の関係(英文)|Mar.2022
長野県カヤの平のブナ林で、林冠の葉面積と林床木本群集の構造との関係を調査しました。1haの調査区で林冠LAI(単位面積あたりの葉面積の総和:㎡/㎡)を求め、林床の種構成と一次生産量(ANPPW)を分析した結果、林冠LAIが高いほど林床のANPPWは低く、ANPPWは個体密度と正の相関が見られました。LAIの高低で優占種も異なり、林床樹木は多様な光環境に適応して生産性を高めていることが示されました。 -
研究
ブナ成熟林における土壌呼吸の空間的差異は林冠構造を介した土壌水分量によって決まる(英文)|Sep.2021
長野県カヤの平のブナ成熟林において、土壌呼吸(SR)と土壌水分量(SWC)の関係について検証しました。100m×100mの調査区内121地点で測定したSR、土壌温度、SWC、林冠開空度の関係性を調べたところ、SRの変動はSWCと有意な関係があり、林冠開空度がSWCに影響していることがわかりました。森林の炭素循環の解明に新たな示唆を与える研究です。 -
研究
中日本の多雪地域におけるブナ(Fagus crenata)の繁殖器官の生産量と、駆除された有害個体のツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の数との関係に関する15年間の研究(英文)|Aug.2021
日本中部の積雪地域で、ブナの繁殖器官の生産量とツキノワグマの人里出没(駆除数)との関係を15年間にわたり調査しました。雄花序(MIs)が少ない年は、夏から秋にかけてクマの出没が増加する傾向が見られます。特に7月までに林床に落ちたMIsの量を観察することで、その年の出没リスクを予測できる可能性が示されています。 -
研究
ギャップ・モザイク構造を持つ成熟したブナ林におけるチシマザサ(Sasa senanensis)の総一次生産量(英文)|Feb.2021
森林の林床は、一部の森林生態系における総一次生産(GPP)に重要な役割を果たします。しかし、林冠構造の違いによる林床GPPの差異はこれまで十分に考慮されておらず、過小または過大評価の可能性がありました。本研究では、ブナを主体とする落葉広葉樹林を「林冠部」と「ギャップ部」に分け、林床のチシマザサのGPPを測定しました。ギャップ部では光量とバイオマスが多く、GPPは林冠部の約3.6倍に達しました。林床GPPは森林全体のGPPの約16〜20%を占め、林冠構造の違いを考慮する重要性が示されました。 -
研究
長野県飯山市小菅地区に残るブナ林の林分構造|Mar.2017
長野県飯山市の重要文化的景観「小菅の里及び小菅山」において、ブナ林の林分構造を調査しました。山頂の成熟林ではブナとキタゴヨウが優占し、ブナは下層にも多く更新が進行中と推察されました。集落近くの里山林では発達度の異なる2林分が確認され、いずれもブナが高頻度で出現し、順調な更新が示唆されました。 -
研究
長野県北部産ブナ堅果のアミノ酸組成、脂肪酸組成、トコフェロール含量|Mar.2017
ブナ堅果の胚を分析した結果、うま味成分であるグルタミン酸やアルギニンを多く含み、脂肪酸はオレイン酸とリノール酸が主成分でした。クルミに比べ多価不飽和脂肪酸は少ないが、酸化安定性の高いγ-およびδ-トコフェロールを含有し、酸化に強い特性が示唆されました。 -
研究
豪雪中山間地におけるブナ堅果の生産量と成分特性からみた特産物としての有用性|Feb.2017
長野県飯山市でブナ堅果の特産物としての有用性を検討しました。堅果の豊凶は林分により異なり、極相林で隔年、里山林で2~4年ごと、孤立林では稀でした。堅果は高栄養価かつ酸化安定性に優れ、豊作時の賦存量は約8t(約800万円相当)と推定されました。持続的利用には林分特性に応じた資源管理と高付加価値化が重要とされます。 -
研究
隔離された小規模なブナ (Fagus crenata) 集団における花粉散布パターンと個体群の持続性(英文)|Jun.2016
この研究は、強く隔離された小規模なブナ集団(牛伏寺)における花粉の長距離散布と遺伝的多様性への影響を調査したものです。親子解析により、7km以上離れた場所からの花粉飛来が示唆されましたが、遺伝的多様性や有効集団サイズは低く、隔離と小規模性による遺伝的浮動の影響が懸念されます。外来交配が優勢で、過去の混交の痕跡も見られ、今後の存続にはさらなる研究が必要です。 -
環境教育
教員養成系大学生に向けた森林生態学教育 : 信州大学カヤノ平ブナ原生林教育園での活動事例|Mar.2016
この実践報告は、信州大学教育学部の教員養成系大学生を対象に、カヤノ平ブナ原生林教育園で実施された森林生態学の野外実習の事例を紹介しています。簡易的な毎木調査を通じて、極相林の世代交代や林分構造の理解を深めるとともに、得られた知見を学校教育へ応用する方法を考察しました。学生の多くが生態学的理解を深め、教育現場での展開案も具体的に提案され、実習の有効性が示されました。 -
研究
松本市牛伏寺に残る小面積ブナ林の林分構造|Mar.2014
長野県松本市牛伏寺の小面積ブナ林は、周囲にブナがほとんど存在しない孤立個体群であり、150年以上維持されてきた可能性があります。調査では106個体(87株)を確認し、複数回の更新が示唆されました。更新には豊作年が重要ですが、発芽率の低下や動物による食害が課題となります。遺伝的多様性の低下も懸念され、今後は親子関係の解析などによる動態把握が求められます。