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論文
長野県中部における断片化した小規模ブナ林の更新動態|Sep. 2025
松本市牛伏寺のブナ林は、 過去のスズタケ被圧と現在のシカ食害により、低木層や稚樹におけるブナの生育が阻害され、更新が停滞していました。過去約20年間(2005-2024年)でブナの豊作がなく、これは、遺伝的多様性の低下による稔性(種子ができる能力)の低さが考えられ、次世代を担う種子自体が不足しています。今後、ブナ林の維持は困難であり、稚樹が多いナラ類主体の林へ遷移すると予想されますが、シカ食害が続けばナラ類の更新も停滞する恐れがあります。 -
論文
年輪の視認性向上:温帯樹種62種を対象としたサンプル処理および画像化技術の比較研究(英文)|Jul.2025
樹木の成長情報を得るには年輪境界の明瞭な視認が必要ですが、散孔材など境界が不明瞭な樹種では技術的課題が残ります。本研究は東アジアと北米の温帯樹種62種を対象に、サンプル調製法と画像化技術を比較しました。可視光下での二重染色薄片が最も明瞭で、次いでチョーク併用のミクロトーム処理が有効、蛍光法ではUVが最良でした。二重染色は技術を要しますが、信頼性と効率に優れ、年輪研究の拡大に寄与します。 -
研究
北東アジアの温帯林における樹木成長の気候応答の空間的異質性(英文)|Dec. 2024
北東アジアの温帯林79地点・22樹種の年輪データから、樹木の成長が気候にどう反応するかを広域的に評価しました(信州大学森林生態学研究室が管理するカヤの平と広島県臥龍山[苅尾山]のブナ林2サイトのデータを提供)。成長に対する反応の違いは水ストレスが主要因であり、乾燥地域ほど降水減少や高温・乾燥に対して成長が大きく低下する傾向が示されました。今後の乾燥化の進行により、森林生産性の広域的な低下が懸念されます。 -
研究
北八ヶ岳坪庭溶岩台地に成立するハイマツ群落の組成と構造|Dec. 2024
北八ヶ岳・坪庭の溶岩台地(2250 m)では、通常は森林限界より上に生育するハイマツが、より低い標高で群落を形成しています。溶岩台地の周縁部から中心部にかけて26区画で植生調査を行った結果、周縁ではコメツガが優勢ですが、中心ではハイマツが増加しており、ハイマツが主要な先駆樹種として定着したと考えられます。これはコケやガンコウランのマットがハイマツの実生定着を助け、現在の分布を形成したためと推察されます。
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